忍者ブログ
日常を綴りながら灰色楽団とバジル君へ愛を捧げる同人日記です。時折生物注意。
[470]  [469]  [468]  [467]  [466]  [465]  [464]  [463]  [461]  [460]  [459
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


明日は現代社会のテストです。
いえ、別にタイトルと関係ありませんオリジナル小説はつづきから。←

―――

ごろんごろんごろん。
目の前を転がる小石が一つ。

「ころんころん」
「ああ、そっちの方が良かったかも」
「何が?」
「こっちの話」
「そう」

私の返答に、モンブランは笑った。
ころんころんころん。
小石は小道を転がっていく。
別に、傾斜がついた坂でもない。
別に、誰かが蹴飛ばしたわけでもないだろうに。
そんなことを思っていると、小石の後ろをついて歩くものが居た。

「お、ジョー」

珍獣を見つけたとでも言うような目に、私は小石から視線を外す。
そして、手元に広げてあった本を見た。
そろそろ定期的な点検の季節である。
この施設を管理するのに、点検は必要だ。
人間の把握、機会の把握、私自身の精神の把握。
色々ありすぎて、最近ではショートした気分になる。
機械はいつもこんな感情を味わっているのだろうか。
そんなことを考えていると、モンブランがすたすたと窓際に歩み寄った。

「小石と追いかけっこ?」
「小石を俺が蹴飛ばしてるの」
「暇人だなあ、コンは」
「お前みたいにいつもジョーの傍に居てにこにこにこにこしている奴に言われたくねえよ。暇人」

モンブランは無言で窓を閉めた。
私は別に異議はなかったので黙っておく。
ただ、窓の外が少し騒々しくなった。
雨でも降れば静かになるだろうか。
雨の音は、好きだ。
何もかもをかき消す雨の音は、嫌いじゃない。
私の存在さえもかき消してくれるような雨の雫と、私の体を流し去ってくれるような濁流と、私の精神を壊してくれそうな音。
ああ、もう、なんて素晴らしいものなのだろう。
珍しく、関心を持った。
が、別に意味は無いので口には出さなかった。
どうせしばらく、雨は降らない。

「小石がころころ。僕は、ジョーの周りをちょろちょろ」
「ちょろちょろちょろちょろ」
「目に留まる?」
「それなりに」
「だったら、嬉しいな。ジョーの意識に僕は居るんだ。だったら、いつまでも、いつまでも、ちょろちょろにこにこしてないと」
「あら、コンに言われたこと根に持ってるの?」
「ん?僕は別にコンに言われたことに対して興味は持って無いよ。ただ、知った言葉を使っただけ」
「知らなかったのね」
「僕、自分の笑顔が一番理解できない」
「そう」

私は苦笑した。
私の笑顔も理解できなかった。
ころころころころ。
ちょろちょろちょろちょろ。
にこにこにこにこ。
私の周りで世界は変わる。

「永遠に、恒久のものを、僕は望みます」
「それは、何?」
「永遠に、恒久に、そう、二つとも同じ意味。ジョーの傍に僕が僕として存在し続けると言うこと」
「いつまで?」
「ずっと、だよ。だって、それが永遠の意味だもん」
「死んでも?」
「一億年と二千年経っても」
「じゃあ、一億年と三千年経ったら永遠は終わるのね」
「僕は知らない」
「知らないことは言わないで」
「この屁理屈」
「褒め言葉ね」
「うん。だって、そんなジョーが僕は好きなんだもん。八千年過ぎたらもっともっと愛しくなるの。一万年と二千年前から、愛してたの」
「あら、一万年と二千年前の私を知ってるの?」
「ううん。わかるのは、僕の恒久の存在だけ」
「存在だけ?」
「存在し続ける限り、僕はジョーを愛するから。それが、僕」

モンブランは笑った。
一億年と二千年後も、モンブランは笑っているのだろうか。
そんなことを、思った。
PR


この記事にコメントする
name
title
color
mail
URL
comment
PASS   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー 
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
最新記事 
(02/03)
(01/29)
(01/28)
(01/19)
(01/18)
プロフィール
想藍歌:
バジル君と灰色が大好きです。
灰色について語っている時は無視してあげてください。お願いします。
詳しくはこちらの前略プロフにて。
最新コメント
[11/17 想]
[11/16 茉]
[07/28 想]
カウンター
アクセス解析


忍者ブログ [PR]