私はいつものように窓から外を眺めていた。
冷たい風が部屋へと入る。
涼しい。
髪が、揺れた。
「へくち!」
思わずくしゃみを一つする。
さて、誰か私の噂でもしているのだろうか。
そんなことを思っていると突然ガシャンという音が響いた。
何事かと振り向けば、そこにはドアの前で硬直しているモンブランがいる。
ああ、折角作ったモンブランがぐしゃぐしゃになって床で死んでいる。
私はため息を零した。
「掃除」
「ジョー、ジョー」
「何?」
「ジョーが、女の子みたいなくしゃみした!」
「馬鹿」
私が女の子で悪いか。
驚くモンブランに、私は平然と返す。
へくち。
またくしゃみが出た。
くしゃみがこれで二回目。
通算すれば、良い噂を誰かがしているということになる。
そんなことを思っていると、モンブランがおもむろにしゃがみこんだ。
どうやら、私の言葉に従い掃除をしているようだった。
「いや、ジョーが…女の子」
「悪い?」
「ううん。可愛い」
ならば、何故言う。
そんなことを思いながら、私はくしゃみをまた一つ。二つ。
さて、四つになったらもう噂なんてわからない。
私はふと外を見た。
やはり、冷たい風が吹いていた。
それにしても、何故こんなに寒いのだろうか。
「うーん。でも、どうしようかな?」
「何が?」
「ジョー、朝から何も食べて無いよ?」
「ああ、そういえば。そうね」
「だから、モンブラン作ったんだけどなあ」
「潰れたわね」
「残念。しかも、今ではゴミ箱の中だ」
「他には?」
「予備はあるよ。コンとコロちゃんの分」
「コンの貰う」
「遠慮ないの、好き」
「そう」
私は苦笑した。
モンブランは早速、と言うようにお盆を持って退室していく。
それを見て、私はまたくしゃみをした。
そろそろ、冷たい風も凍りつくようなものになる。
その前に風邪を治そうと、私はとりあえず窓を閉めた。
―――
たまにはオリジナルオンリーで。
PR