霧のようにはち切れて、さようならと笑ふでしょう。けれども、アナタの笑顔といふものは、とても機械のようであつて、私には手にも触れられぬと感じさせるものなのです。とほくのものなのです。
「何を根拠に、」
「根拠とか、せういう話は浮世離れしていて嫌い」
「う」
言葉を失い、黙り込んだ。ふかとちゆうに浮く話は、何を隠さずともこの世からは離れて二度と戻らぬ。それでも、とわろうアナタを思い出し、私はと黙り込む。
「霧のようでせう」
「僕が?」
「例えばなしは嫌いだと、聞きましたけれども」
「わかつていて言うには、度胸がある」
苦笑い。
お互いに反する思考と化粧と衣をもつてしまつたものだと、愕然。霧のようでせう。お互いに。
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