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日常を綴りながら灰色楽団とバジル君へ愛を捧げる同人日記です。時折生物注意。
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気づいた時には遅かった。
気づかなければ、と後悔するには時間が溢れていた。
気づいた時と気づいていなかった時の些細な違いを羅列。
あれもそう。
これもそう。
あんな偶像の欠片さえもそうである。
この場合の対象物は果てに何を意味するのか。
以前の話とし、根拠に至るまでの仮定を想定することこそが賢明なのではなかろうか。

「う、なんか、つまらなくなりました」

黒髪の少年が呟く。
最近になり強制縮毛をやり直した髪は、痛みに複雑な色を訴えていた。
鬱々となる、鬱々。

「郵さん、どうしたの?因みに緑茶」
「胃がキリキリと痛む、と、緑茶は休まる」

赤い帽子を机に置き、濡れた赤いトレンチコートをハンガーにかけるモンブラン。
私は郵便物の山を見ながら、燃やす順番を考え、一方で郵さんとモンブランの会話を眺めていた。
陶器の湯飲みがひび割れの音をたてる。
パキン、空耳。

「ところで、郵さん」
「な、に?ジョーさ、ん」
「この山は要するに届け損ねた実家からの書類と便宜上の通達なのかしら?」
「うむむ、届け損ねたの、事実なのです」

嘘をつかないのは笑い者である。
私は呆れ、ため息をつき、郵便物を手に取った。
色も洒落も感じない、コンピューターにより打ち出された文字が宛先を告げる。
私は何となく、意味もなく、考えもなく封筒を破り、全てをゴミ箱に投げ捨てた。
廃棄処分は、思うよりすっきりするものである。

「気づいたの、です」

今になって、この年の瀬を責め立てる。
黒髪の情けない髪に隠された瞳は私を見ない。
私はお茶を飲み、ゆったりとこちらを見ているモンブランに対してゴミ箱を指差した。

「ジョーは酷い!最後の皺寄せは僕かあ」

笑うモンブランに、情けない郵さんの背中を見て、私は郵便物を上から順に破っていく。


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想藍歌:
バジル君と灰色が大好きです。
灰色について語っている時は無視してあげてください。お願いします。
詳しくはこちらの前略プロフにて。
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