久しぶりの「area」ですー。オリジナル小説!
ここに残しておくついでに、オリジナル小説別館も更新してこようと思います。
後々で面倒になるんですよね…。←
あ、因みにリクエストはばんばんくださると嬉しいです。
うっ、いや、私なんぞの小説ではつまらないかと思います、が…。
最近、途絶え気味なので。
いえ、まあ、書き溜めというものも少々あるので更新は出来るのですが。
とりあえず、今日はブログに小説を残していこうかと。
別館も更新してきますー。
続きから、何故か新キャラ登場「area」です。
…この新キャラはどこから生まれたのか。謎です。←
―――
消える。
消える。
空の、彼方。
私は頬杖をつきながら、呆然と風が過ぎ去っていくのを見ていた。
春一番。
風が、乱れる。
「わーっ!ジョー、窓、閉めて!」
「え?」
「知らないの?今年の花粉は例年の三倍なんだよ!」
「知ってるわ」
「三倍だよ!三倍!コーヒーにいつもの三倍砂糖を入れたらどうなるの!」
「甘くなって…コーヒーじゃなくなるわ」
「うん。だから、窓、閉めて」
「話が繋がってないわよ、モンブラン」
「それもそうだねえ」
なんて、呑気に笑いながらモンブランは私をゆっくりと窓際から退かすと、パタンと窓を閉めてしまった。
折角の絶景も、今では窓の外だ。
木々が煩いほどに音を立てて揺れている。
そこまで存在を主張しなくとも、私は貴方たちの存在を認めている。
言葉で返してあげたいほどだった。
モンブランはパタパタと洋服を叩くと、ガラス戸の中から匂い消しのスプレーを出した。
「これ、花粉とかハウスダスト用」
「聞いてないわ」
「確認」
モンブランは笑いながら、空気中に水滴を吹き散らす。
私の予想以上に、水滴は溢れた。
空気が湿る。
書類をまとめ、私は再度窓の外を見た。
書類は、私が窓の外に目を奪われている隙に乱れていた。
乱れているものは好きではない。
しかし、風で乱れる木々は愉快極まりなかった。
コンコン、と、小さなノックオンが窓の向こうから響く。
私は振り向いた。
モンブランは無言で頷く。
「どうしたの?」
「えっと、あの、風宿り?って言うのかな?あの、良い?」
小首を傾げる、見た目は可愛らしい少女。
金髪を必死に押さえ、少女は言う。
雨が降っていないことだけが幸いか。
そんなことを思いながら、私はドアを指差した。
少女は、ぱあっと表情を一変明るくさせると、一目散にドアへと向かう。
すぐにバタンとドアの開く音がして、バタバタと私の嫌いな煩い音が響いた。
「あ、お邪魔します!ジョーちゃん」
「うん。で、誰?」
「マリー」
「そう、マリー。久しぶりね」
「うん」
にっこりと、マリーは笑う。
綺麗な緑色の目が、印象的だった。
挨拶もほどほどに、またドアの開く音がした。
そして、先ほどよりも大きな足音が一目散にこちらへと向かってくる。
「うわー!ひでえ風!!」
「…変人」
「ちげえよ!!」
マフラーとサングラスで顔を隠した男に、モンブランはあからさまに嫌な顔をする。
私も、そっと銃口を向けた。
冷たい空気に男は慌てて顔を隠していた全てを取った。
「俺、俺!コン!!花粉症なんだよ!!」
「だと思った」
「わね」
「知っててやったのか!てめえら!!」
「煩い」
「ね」
交互に言葉を交わす私とモンブランに、コンは血管が浮き出そうな表情で睨みつけて来る。
そこまで、感情を表に表すなんて疲れるだけだろうに。
呆れていると、ふと服の裾を小さな手が引いた。
「ああ、マリー。これは、コンよ」
「コン…、コン、ちゃん?」
「そう」
「ちゃん…」
項垂れるコンだが、見ている限り満更では無さそうだ。
その理由は、聞かずともコンが答えてくれた。
「ま、えーと、マリーだっけ?あんたみたいなのに呼ばれるなら満足だよ」
コンの言葉に、マリーは私の服を掴んだままコンに歩み寄る。
必然的に、私の腕が上がっていく。
「何で?」
「ん、マリーが可愛いから」
「あ、あ、あ、あ…、あの、あ、あ、り、がと、う」
顔を真っ赤にさせて、マリーは隠れるように私の背中に回った。
私は小さな姿にため息をつく。
そうしていると、コンが自分で椅子を引っ張り出してきた。
アレはモンブラン専用の椅子である。
椅子の足を蹴り飛ばしたくなったが、生憎距離があったので私はコンを睨みつけるだけにした。
「こんなお淑やかで可愛い子、いつからここに?」
コンの質問に、私は書類へ視線を戻し答えた。
「10年前よ」
「…は?」
「お父様が、電信柱の下に置かれていたこの子を見て面白いって持ち帰ってきたの。それで、そのままこの村に置き去り。以来、私が母親…って言ったら私自身が気持ち悪いわ。まあ、とりあえず、生活に必要なことを教えてきたのよ。変な癖は、誰から教えられたのか知らないけど」
「ふーん」
変な癖、強調していった言葉にコンは反応しなかった。
やはり、コイツは駄目である。
そんなことを考えながら、私はマリーを見た。
「お茶、何にする?」
「えと、ローズマリー」
「じゃあ、今日は紅茶かあ」
呑気に笑いながら、退室していくモンブラン。
三人だけの部屋で、コンが楽しそうに笑う。
さて、彼がマリーの本当の姿を知るのはいつのことだろう。
漠然と、思った。
しかし、私には関係の無いことなので言わないで置いた。
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