本家のお絵かき掲示板がリボだというお話を聞いて探索。
色々見ていたら、ちょっと触発される絵に遭遇。
ということで、久しぶりのオリジナル小説です。
しかも「area」ではありません。珍しい。
本当に、今、ぱっと思いついたキャラ達です。
つづきから。
―――
小さな少女に手を引かれ、今日も僕は旅に出る。
昨日は原宿。
一昨日は渋谷。
少し前は、札幌。
少女に引かれ、僕は旅に出る。
「あら、今日のご予定は?」
「…僕が決めてるわけじゃないから」
「そうね。じゃあ、上野に致しましょう」
「そうだね」
僕はそれとなく頷いた。
電車に揺られること30分。
都会にあるはずなのに草木にまみれた上野が目に入ってくる。
駅から出れば、アメリカ横丁。
「髑髏のベルトが欲しいわ」
少女は僕の指を引っ張りながら、安値の店に入っていった。
首からかかっていた黒地に白の水玉模様のついたポシェットから、コインを一枚取り出した。
「おじ様、おじ様、ベルトを頂戴」
「おじ様かあ!」
店主は大笑い。
僕はそれを見ながら、僕にも買うものはないかと物色する。
おや、あれは僕に似合いそうな帽子じゃないか。
そんなことを思っていると、少女がまた手を引いた。
「違うの。もう、終わったわ」
「ベルトは?」
「そんなものは買ったわよ?あら、見ていませんでしたこと?」
「うん」
「髑髏柄のベルトなのよ。可愛いでしょう」
「可愛いね。僕は、あの帽子を見ていたよ」
「欲しかったの?」
「欲しかったのかな?」
苦笑いを零す僕を少女は連れて行く。
階段を上れば、似顔絵を描くという人たちが集っていた。
少女の奇妙な服装が彼らの創作意欲を刺激する。
金髪の綺麗なおかっぱ頭の少女。
目はお人形のように綺麗なスカイブルー。
作られたように白い肌の少女はふわりとフリルのついた服を揺らした。
ジーンズは、少し汚れていた。
「猫がいるわ」
「猫以外もいるよ。人間とか」
「あれは、人間ね」
「博物館に行きたいな」
「そうね。それも良い話の種になるわ。私は学生だから無料だもの」
「学生でも僕はお金を払うよ」
「大学生だもの」
「そうだね」
少女につれられて僕は並木道を歩く。
パンダが目に入った。
大きな動物園がある。
地図がいくつもたっていた。
大きな池もある。
少女は博物館につくと精一杯背伸びをした。
「募金をしてくるの。貴方も、いらっしゃる?」
「10円」
「5円」
これからも、ご縁がありますように。
言葉の使い方は間違えていない、と思う。
僕は募金箱に一円玉を五枚入れた。
少女は一枚。
「ご縁はあるのかしら?」
「また、来るのかな?」
「それは貴方が決めることですわ」
「そうだね」
少女は僕の手を引いた。
僕はやっぱり、少女に手を引かれてその後をついていくだけだった。
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