インテお疲れ様でした。
かすてぃーと話してて書きたくなった夜と昼のリクオのお話。
夜昼が好きなんです。
ぬらひょん(略すな)は初めて書いたから目を瞑ってください←
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夜の自分なんて知らない。
古来から、人は夕暮れと朝焼けを境目にした。
何のための境目か、と問われれば案外簡単な答えである。
何事にも、対となるものがあるのは感覚で気づいているはずだ。
足せば減らす。
女がいれば男もいる。
あの世があれば、この世がある。
対。
「それが、どうしたの?」
妖怪となった自分の姿を夢心地で認めた。
リクオの問いに、彼は笑う。
「…昔の話を思い出した」
それだけに過ぎない。
夜のリクオは、呟く。
桜が舞った。
程よく湿り気を残す地表に張り付き、桜は動こうとしない。
リクオは、桜を見ていた。
「…ねえ、君は誰?」
「俺は俺だろ。昼の俺よ」
「たまに、君の言葉に負けたくなる」
「俺に勝とうなんざ、甘い考えだな」
桜を吹き飛ばす。
淡い桃色が散った。
同じ花弁を、同時に握る。
リクオは見上げた。
自分と、目があった。
「夜にしか会えないなんて、辛いね」
「考え方の相違だろ」
「君は違うの?」
花弁が手から放たれた。
夜のリクオは、言う。
「妖怪と亡霊なんざは違う。俺は夜を住みかにしてるが、境界を作ったつもりはねえぜ」
「僕は、昼の君だよ?」
「それがなんだ。それだけだろうが」
夕暮れと朝焼けにより、変わった世界。
しかし、リクオという存在は人間であろうと妖怪であろうと一人である。
世界は変わらない。
「昼にいないって、誰がいつ断言したんだよ」
笑い声がクツクツと響く。
心臓の音が、重なる。
一人であるから二人なのだ、と感じた。
せめて境目もないこの境遇に感謝すべきである。
「君と僕は、」
「言葉のままに、一心同体。嫌か?」
嫌と言わせない瞳に捕らえられ、畏怖とは違う何かに体を抱き締められた。
「嫌、じゃない」
リクオの答えに彼は笑う。
朝焼けが空を写し出しても、二人の温もりは共にあった。
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